関東地方は現在、梅雨まっただなか。
「明日も雨かな?」と天気の心配をすることが多くなる時期です。
梅雨独特の湿気の多い“じめじめ”した天気は、7月12日の収穫を楽しみにする私たちにとって、もうひとつ心配事を増やします。

それが、今回のコラムのテーマ、ジャガイモの“病気”です。


・ ジャガイモが病気にかかるわけ
私たちが風邪をひくのと同じように、ジャガイモたちも病気にかかります。
葉が巻いたようになり、全体的に生長が遅れる“葉巻病”。
地面に近い茎の部分が黒く変色し、イモの育ちが悪くなる “黒あざ病”。
さらには、地上部は健全でも掘り起こしてみるとイモの表面がごつごつとかさぶたのようになっている“そうか病”など、いろいろな病気が知られています。
気づいたときには畑一面に広がりもう手遅れ、というようにあっという間に広まってしまうものもあるのです。
このように、ジャガイモを育てる上で病気は大敵です。
では、なぜ病気にかかってしまうのでしょうか。

次々と病気が隣のジャガイモへ、さらには隣の畑のジャガイモへと広がってしまう“伝染病”と呼ばれるような種類の病気の原因は、私たちの肉眼では見えないくらいの大きさをした“かび”(糸状菌とも呼ばれます)やウイルス、細菌です。
その中でも特に、かびはよく植物に病気を起こします。
かびの多くは比較的気温が低く湿度が高くなる梅雨の時期のような天気を好むため、ジャガイモの病気もこの時期に発生しやすいというわけです。


・ 歴史を動かしたジャガイモ疫病
ジャガイモの病気で特に有名なのが、かびの一種が引き起こす、やはり梅雨のこの時期に発生しやすい“ジャガイモ疫病(えきびょう)”です。
この病気にかかると、葉には茶色~黒色をしたはん点が生じ、ひどくなると葉や茎はすべて枯れて、地下のイモも変色してしまいます。

今から約160年前、アイルランドではこの病気が全土に広まりました。
その結果、主食としていたジャガイモをほとんど収穫できず、当時の人口の約8分の1、100万人以上の人々が餓死するという大飢饉が起こったのです。
また、飢えから逃れるために多くの人々がイギリスや北アメリカ大陸へと渡ったため、アイルランドの人口は一気に減少したといいます。
“ジャガイモ疫病”がアイルランドの歴史を動かしたと言っても過言ではありません。

現在の私たちからは考えにくいことですが、実はこの大飢饉が発生したときには、植物の伝染病がなぜ起こるのか、その原因はわかっていませんでした。
しかし、それから数年後、ジャガイモ疫病の原因となるかびの存在が発見され、それを機にさまざまな植物の伝染病についての研究がスタートしたのです。


・ 病気を防ぐために
そのおかげで、現在にジャガイモの病気を防ぐための農薬や、肥料のまき方などの栽培方法、病気に強い性質を持つ品種の開発がされてきました。
ちなみにシンシアは、そうか病と呼ばれる病気に強い品種だそうです。
きっと、三つ豆ファームでは病気が発生するのを防ぐためにいろいろな工夫をして、私たちのジャガイモの様子を見守り育ててくれているはずです。
とはいえ、梅雨のこの季節、ジャガイモたちが病気にかかっていないかと少し心配になってしまいます。

収穫までにいよいよあと3週間、ジャガイモたちは元気でしょうか?
山木さんからのよい知らせを待ちながら、あと少し収穫の日を待ちましょう。
それでは、次回のジャガイモコラムもお楽しみに!

(文・日野愛子)